代襲相続が発生し義理の姉・甥・姪と不動産が共有に/遺産分割協議が難航したが円満に解決したケース
お客様のご状況
Aさんのお父様が亡くなれて、お父様名義の不動産を当該物件に居住しているAさん名義に変更したい、というご相談でした。ご家族関係は、下記のとおりで長男(Aさんの兄)は既に他界しており「代襲相続」が発生していました。
登記簿を確認したところ、土地はお父様単独名義でしたが、建物は、お父様とお父様の長男の妻とお父様の長男の子(Aさんの義理の姉とAさんの甥・姪)の共有名義でした。お父様名義の不動産を全てAさん名義としたとしても、建物は義理の姉、甥、姪の名義が残ってしまうので、どのようにして共有関係を解消するかも課題でした。
相続人関係
【被相続人=亡くなった方】
・Aさんのお父様
【相続人】
・奥様
・長男の子3名(長男が既に死亡していたため)
・長女(Aさん)
財産状況
相続財産の状況は、下記のとおりです。
・ご自宅の土地建物(建物は長男の妻と長男の子3名との共有)
・預貯金
当事務所からの提案&お手伝い
Aさんからは「既に相続人間で協議は整っており、亡長男の子3名は相続放棄してくれる」と伺っておりました。
当事務所からは、長男の子3名については、家庭裁判所への相続放棄の手続きを行い、相続人を奥様とAさんのみとして、この二人で遺産分割協議をして、預貯金は奥様に、不動産はAさん名義とする手続きをご提案しました。
また、相続手続きと並行して建物を共有している亡長男の妻と子3名から持分の贈与を受けて、建物もAさん単独名義とすることをご提案しました。
手続きを進めるうち、相続人間で意見の相違があることが判明しました。
・相続人の一人は居所が定まらず、連絡も取りにくい状況である。
・長男の子3名からは、代償金による遺産分割を希望している。
・亡長男の子3名の相続放棄の期限である「相続開始を知ってから3カ月以内」が過ぎてしまう可能性がある。
・建物共有者の住所や氏名が登記簿上のものから変わっており、変更する登記が必要であるが、居所の定まらない者の住所を確定させる必要がある。
このような状況から手続きが滞ってしまう恐れが生じました。
そこで、当事務所から亡長男の子3名へのご要望の聞き取りを行いました。
代償金をもらうことができれば、手続きに協力すると3名とも話されたことから、法定相続分に見合う代賞金の試算を行い、Aさんに提示しました。
そのうえで、手続きを滞りなく進めるためにも①居所の定まらない相続人の住所を一度実家に置くことで、居所を定め・印鑑登録と印鑑証明書の発行してもらう②相続放棄ではなく、相続人全員での遺産分割協議に切り替える③代償金の支払い④登記手続きと順次進めていくことをアドバイスいたしました。
当事務所では、Aさんのご意向を実現するため、下記のサポートを行いました。
①遺産分割協議案の作/
②預貯金の解約
③代償金の試算
④自宅の土地建物の名義をAさんに変更(相続登記)
⑤建物共有者の長男の嫁及び子3名の住所・氏名変更(所有権登記名義人住所氏名変更登記)
⑥建物共有持分をAさんへ贈与するための贈与契約書作成
⑦贈与による建物の名義をAさんに変更。(持分全部移転登記)
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結果
3名の意向を聞いたAさんも初めは驚き感情的になることもありました。
今回のケースは、相続人間での話し合いがしっかりとなされておらず、相続人それぞれがご自身の考えをお持ちで全体像を把握している人がおらず、「争続」になりかねないケースでした。しかし、当事務所で、全体の手続の流れを整理してご説明することで、相続人間での丁寧な話し合いを促すことができ、「お互いに譲歩し皆が納得できる手続きが必要である」という結論に導くことができました。
その後の手続きは皆様協力的でスムーズに進めることができ、最終的には、土地は、遺産分割によりAさん名義に、建物は、遺産分割と贈与によりAさん名義に変更することができました。