遺言書の書き方を司法書士が解説|注意すべき点は?
目次
はじめに
遺言書の重要性
遺言は、種類によって法律で厳格に書き方が定められています。これは、遺言の重要性と法的効力を確保するためです。遺言は故人の最後の意思表示であり、財産分配に関する重要な指示を含むため、その作成方法には細心の注意が必要です。
遺言書の無効リスク
せっかく書いた遺言書も、書式に不備があるために、無効になることがあります。例えば、日付の記入漏れや署名・捺印の不備、法定の要件を満たさない記述などが原因で無効となる可能性があります。このような事態を避けるためにも、正確な知識と慎重な作成が求められます。
専門家への相談
自筆証書遺言と公正証書遺言の書き方についての説明をいたしますが、きちんとした遺言書を作成したいのであれば、一度司法書士などの専門家にご相談することをお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、法的に有効で、遺言者の意思を正確に反映した遺言書を作成することができます。
当事務所では、相続に強い専門家をご紹介できます。相続法に精通し、豊富な経験を持つ専門家が、あなたの状況に応じた適切なアドバイスを提供いたします。
遺言作成のポイント
以下に、遺言作成における重要なポイントを詳しく説明いたします。これらのポイントを押さえることで、法的に有効な遺言書の作成につながります。
- 自筆証書遺言の作成方法はこちら>>
公正証書遺言の作成方法はこちら>>
自筆での作成
- 全文を自筆で書くこと(※財産目録については自筆ではなくても可)。
これは自筆証書遺言の最も基本的な要件です。遺言者本人が書いたことを証明するために必要です。ただし、財産目録に限っては、パソコンで作成したり、専門家に作成を依頼したりすることも可能です。
例:「私、山田太郎は、以下のとおり遺言します。」から始まり、すべての内容を手書きで記述します。
書式の自由度
- 縦書き、横書きは自由で、用紙の制限はありません。
※筆記具もボールペン、万年筆など何を使用しても構いません。(録音や映像は無効です。)
遺言者の書きやすい方法で記述することができます。ただし、一貫性を保つために、同じ遺言書内では統一した書き方を維持することが望ましいでしょう。
例:A4用紙に黒のボールペンで横書きで記入する、など、自分にとって書きやすい方法を選びます。
日付と氏名の記入
- 日付、氏名も自筆で記入すること。
これらの情報は遺言書の作成時期と作成者を特定するために重要です。日付は年月日まで正確に記入し、氏名はフルネームで記載します。
例:「令和5年8月1日 山田太郎」のように、日付と氏名を明確に記入します。
捺印の重要性
- 捺印をすること。認印や拇印でも構いませんが、実印が好ましいです。
捺印は遺言者の意思確認の証となります。実印を使用することで、より高い信頼性と法的効力が得られます。
例:氏名の横に実印を押印します。押印が不鮮明な場合は、再度押印するとよいでしょう。
訂正方法
- 加除訂正する時は、訂正個所を明確にし、その個所に捺印の上署名すること。
訂正がある場合、単に修正液で消したり、上から書き直したりするのではなく、適切な訂正方法を用いることが重要です。これにより、遺言書の信頼性と有効性が保たれます。
例:誤字を訂正する場合、「○○を××に訂正」と書き、その横に署名と捺印をします。
遺言書の作成サポート
専門家によるサポート
当事務所では、遺言書作成に関する詳細なサポートを提供しています。経験豊富な専門家が、あなたの状況に応じた適切なアドバイスを提供いたします。
証人・立会人の欠格者について
証人になれない人
遺言の有効性を確保するため、証人や立会人には一定の制限があります。以下の人々は証人になることができません:
遺言執行者は証人になることが認められていますが、
- (1)未成年者
未成年者は法的な判断能力が十分でないとみなされるため、証人にはなれません。
- (2)推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
これは利益相反を避けるためです。遺言の内容に直接的な利害関係を持つ人々は、証人としての公平性を保つことが難しいと考えられます。
- (3)公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
公証人との関係が近い人々も、証人としての中立性を保つことが難しいため、証人になることはできません。