自筆証書遺言はどう作ればいい?
目次
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言は、遺言者(遺言を書く人)が自分で全部手書きで作る遺言書のことです。簡単に作れて費用もかからないのが特徴ですが、正しく作らないと法的に無効になる可能性があります。
自筆証書遺言と公正証書遺言の違い
遺言書には主に2種類あります:
- 自筆証書遺言:自分で全部手書きで作ります。費用はかかりませんが、正しく作らないと無効になる可能性があります。
- 公正証書遺言:公証役場で公証人に作ってもらいます。費用はかかりますが、確実に有効な遺言書になります。
自筆証書遺言の書き方
基本的な流れ
- 表題を書く
- 遺言する意思を書く
- 遺言の内容を具体的に書く
- 日付を書く
- 名前を書いて印鑑を押す
必要な項目と書き方
- 表題:「遺言書」と書きます。
- 遺言する意思:「私は以下のとおり遺言します」などと書きます。
- 遺言の内容:誰にどの財産を相続させるかを具体的に書きます。
- 日付:西暦か和暦で書きます(例:2023年5月1日、令和5年5月1日)。
- 名前と印鑑:フルネームを書いて、印鑑を押します。
記載例
遺言書
私は以下のとおり遺言します。
1. 私が所有する東京都新宿区○○町1-2-3の土地と建物を、長男の山田太郎に相続させます。
2. ○○銀行△△支店の普通預金(口座番号:1234567)を、長女の山田花子に相続させます。
3. 私の所有するその他の財産は、長男の山田太郎と長女の山田花子に均等に分けて相続させます。
令和5年5月1日
山田一郎 印
自筆証書遺言を作るときの注意点
有効な遺言書を作るために必要なこと
- 全部自分で手書きすること(パソコンや誰かに代筆してもらうのはダメ)
- 日付を書くこと
- 名前を書いて印鑑を押すこと
気をつけるべきポイント
- 財産や相続人(誰に相続させるか)をはっきり書く
- 難しい言葉よりも、わかりやすい言葉で書く
- 書き間違えたら、その部分に線を引いて訂正し、訂正した部分に印鑑を押す
- 複数のページになる場合は、ページごとに印鑑を押す
よくある間違いと対策
- 間違い:パソコンで作成する
対策:必ず手書きで作成する - 間違い:日付や名前を忘れる
対策:チェックリストを作って確認する - 間違い:財産の説明があいまい
対策:不動産なら住所、預金なら銀行名と口座番号など、具体的に書く
4. 自筆証書遺言の保管方法
安全な保管場所の選び方
遺言書は大切な書類なので、安全に保管することが重要です。以下のような方法があります:
- 法務局に預ける:最も安全な方法です。「遺言書保管制度」を利用して法務局に預けることができます。
- 銀行の貸金庫に入れる:安全ですが、遺言者が亡くなった後、すぐに開けられない可能性があります。
- 信頼できる人に預ける:弁護士や司法書士、または信頼できる家族に預けることもできます。
保管時の注意点
- 遺言書の存在と保管場所を家族に伝えておく
- 定期的に内容を確認し、必要に応じて書き直す
- コピーを作っておく(ただし、法的効力があるのは原本のみ)
5. まとめ
自筆証書遺言は、自分の思いを伝えるための大切な手段です。正しく作成して適切に保管すれば、遺言者の意思を確実に伝えることができます。ただし、法律の知識が必要なので、難しいと感じたら弁護士や司法書士などの専門家に相談するのがよいでしょう。
遺言書を作ることで、家族間のトラブルを防ぎ、大切な人たちに自分の思いを伝えることができます。ぜひ、この機会に遺言書の作成を検討してみてください。
この記事の執筆者
吉田研三司法書士事務所
代表
吉田研三
保有資格司法書士、家族信託専門士、相続アドバイザー認定会員、その他
専門分野相続・生前対策
経歴司法書士事務所を経営していた父(吉田雄三司法書士事務所)の病死をきっかけに司法書士を目指す。
司法書士試験に合格した翌年に、先代の吉田雄三司法書士事務所と同所にて吉田研三司法書士事務所開業。