公正証書遺言の作り方は?|司法書士が解説
目次
1. 公正証書遺言とは
公正証書遺言は、公証人という国が任命した法律の専門家の前で、あなたの最後の願いを伝え、それを公証人が正式な書類にする遺言の形です。法律で認められた遺言の一種で、とても信頼性が高いものです。
公正証書遺言のいいところ
- 間違いが少ない:専門家が作るので、形式的な間違いがほとんどありません。
- なくならない:公証役場という場所で大切に保管されるので、紛失や改ざんの心配がありません。
- すぐに使える:裁判所での確認手続き(検認)が不要なので、亡くなった後すぐに使えます。
- 争いを防げる:公証人があなたの判断能力をチェックするので、「本当にこの人の意思なの?」という争いを防げます。
自分で書く遺言(自筆証書遺言)との違い
公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | |
---|---|---|
作り方 | 公証人が作る | 自分で全部書く |
立会人 | 2人必要 | 不要 |
保管場所 | 公証役場 | 自分で保管 |
裁判所の確認 | 不要 | 必要 |
費用 | やや高い | ほぼかからない |
公正証書遺言の作り方
必要な書類を用意しよう
以下の書類を準備します:
- あなたの身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産にする財産の資料(家や土地の登記簿、貯金通帳のコピーなど)
- 遺言の内容をまとめたメモ
公証役場に予約を入れよう
- 近くの公証役場に電話をする
- 公証人と日にちを決める
- 必要な書類や立会人について確認する
- だいたいの費用を聞いておく
立会人を選ぼう
公正証書遺言を作るときは、2人の立会人が必要です。以下のポイントに注意しましょう:
- 20歳以上で判断能力のある人
- 遺産をもらう人や、その人の家族は立会人になれません
- 立会人は遺言を作るときに一緒にいて、最後に名前を書いてハンコを押します
公正証書遺言を作るときの注意点
無効になってしまうケース
以下のような場合、せっかく作った遺言が無効になってしまうことがあります:
- 遺言を作る人の判断能力が不十分な場合
- 立会人の選び方が間違っている場合
- 遺言の内容が法律や社会のルールに反している場合
費用の確認
公正証書遺言を作る費用は、遺言の内容や財産の額によって変わります。一般的な目安は以下の通りです:
- 基本料金:11,000円
- 財産の額に応じた料金:財産の0.05%〜0.3%くらい
- 遺言書のコピー代:1枚250円
- その他の実費(郵送料など)
事前に公証役場でだいたいの費用を確認しておくといいでしょう。
なくしたり、偽物を作られたりしないための対策
公正証書遺言は公証役場で大切に保管されるので、なくなったり偽物を作られたりする心配は少ないですが、以下の対策も効果的です:
- 遺言書のコピーを何枚か作って、信頼できる人に預ける
- 遺言書を作ったことを家族に伝えておく
- 時々内容を見直して、必要なら変更する
公正証書遺言作成の流れ
- 遺言の内容を考える:誰に何を残すか、よく考えましょう。
- 必要な書類を集める:身分証明書、戸籍謄本、財産の資料などを用意します。
- 公証役場に予約を入れる:電話で日時を決めます。
- 立会人を決める:条件に合う2人を選びます。
- 公証役場に行く:必要書類と立会人を連れて行きます。
- 公証人に遺言内容を伝える:あなたの言葉で、最後の願いを伝えます。
- 公証人が遺言書を作る:あなたの言葉を元に、正式な書類を作ります。
- 内容を確認する:公証人が読み上げた内容に間違いがないか確認します。
- 署名・押印する:あなたと立会人が署名し、ハンコを押します。
- 完成・保管:遺言書は公証役場で大切に保管されます。
まとめ
公正証書遺言は、あなたの最後の願いを確実に伝えるための大切な方法です。専門家のサポートを受けながら作ることで、より確実に自分の思いを遺すことができます。遺言を作ることで、残された家族の負担を減らし、争いを防ぐことができるのです。
ただし、遺言の内容や作り方によっては、法的な問題が生じる可能性もあります。より安心して遺言を作るためには、司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、あなたの思いを正確に反映した、法的にも問題のない遺言を作ることができます。
遺言を作ることは、決して縁起が悪いことではありません。むしろ、自分の人生を振り返り、大切な人々への最後の贈り物を考える良い機会になります。ぜひ、この機会に公正証書遺言の作成を検討してみてはいかがでしょうか。